かながわ経済新聞4月号に「松岡康彦の産業よもやま話」が掲載されました。
経営者と新規事業
春爛漫となりました。気分も高揚しますね。さて、今月は経営の楽しみについて話します。経営をする上で一番の楽しみは創業や新規事業の立ち上げです。その中でも大切なのは、自分が考える事業に市場性があるのかの予測を立てることです。予測の主なものは「需要」です。早すぎてもだめです。逆に、これはいけると誰もが思えば、時すでに遅しです。
私の経験から言いますと、3年先に採算ベースに乗る位の早さで立ち上げるのが理想です。「需要の予測」も必要です。中小企業の資金力では「マーケットリサーチ」はできません。市場が必要としているかどうかを経営者が判断します。経験に基づいたかなりの審美眼が必要になります。
「需要予測」がついたら、まずは適任者探しです。その市場の専門家である必要はありません。
市場参入を決めたら、立ち上がるまで諦めない強い精神力の持ち主であることが重要です。中小企業の場合、経営者自らが旗振り役になることは当たり前ですが、一人ではできません。社内にいない場合は外部に求めます。この人選に失敗すると、いくらよい「需要予測」であっても事業化はできません。
特に海外で新規事業立ち上げの際、外国人と組むには注意が必要です。日本人とはコミュケーションの取り方が全く違いますので、何回も繰り返し確認し合わないと違う方向に向かってしまいます。私は米国と韓国の事業立ち上げで、この失敗をしました。シンガポールは立ち上げ時から社員を経営者にしましたので30年間、今も続いています。
このように「需要予測」を立てたら、そこから先の成功の秘訣(ひけつ)は、粘り強く諦めない人を充てられるかどうかにかかっています。春爛漫のように楽しく新規事業に取り組んでください。
(湘南デザインCEO/相模原商工会議所工業部会副部会長/公認心理師)