かながわ経済新聞3月号に「松岡康彦の産業よもやま話」が掲載されました。
経営者の「考え方」
今回は、経営者にとっての「おカネの考え方」についてお話しします。経営と言えば「おカネ」です。当たり前の話を改めて基本からします。おカネは毎月消えるものと考えてください。損益計算書上は黒字で利益が出ていても、現金が貯まっていることにはなりません。
売掛金と買掛金との差額、設備投資の支払い済みで償却できてない金額、回収ができてない投資金額、材料在庫、製品在庫…。これらは寝ているおカネです。
企業は銀行融資からの借金で穴埋めしています。この部分の借金は健全なので大丈夫です。ただし利息の支払いがあります。1年に1回は決算がありますから、法人税もかかります。会社を全部おカネに換算し、増えた部分に対し法人税率がかかってきますから、上記の寝ているおカネにも税金がかかり、「勘定合って銭足らず」となります。
この解決策は「キャシュフロー経営」です。貸借対照表・損益計算書・キャシュフロー表の3表はスマホやパソコン、紙など、媒体は問いませんが肌身離さずお持ちください。経営者の羅針盤です。この羅針盤なしに航海(経営)はできません。
売り上げや利益計画がなければ、キャシュフロー表はできません。キャッシュフロー表の毎月の確度が高いということは、経営計画がしっかりしていることになります。
次に社員の定着率についてです。社員は「辞めるもの」だと考えてください。「この先もずっと在籍するもの」と考えていると、辞表を出されると気持ちが落ち込みます。入社時から辞めるものだと覚悟していると、継続して勤務してもらえる環境を作る方法が考えやすくなります。賃金で辞める場合はしょうがないことです。
ただし、厚生労働省の調査によると、社員の40%は職場の人間関係にストレスを感じています。ですから、よい職場の人間関係をつくることができれば、おのずと定着率も上がる可能性があります。
経営者の考え方は上下左右斜めから見る力で発揮できます。今月は弥生です。上を見て桜の満開を楽しんで下さい。
(湘南デザインCEO /相模原商工会議所工業部会副部会長/公認心理師)