かながわ経済新聞2月号に「松岡康彦の産業よもやま話」が掲載されました。
経営者とメンタルケア
経営者の人たちは、日頃からメンタルに対する「耐性」があり、メンタルケアが上手ですが、今月はさらにアップする方法をお伝えします。
メンタルケアで大事なのは、不安な気持ちを作らないことです。不安とは、漠然としており具体的でないので、 決策は見いだせません。そのため、まずは具
体的なことに、落とし込みます。そうすると、解決策に近づきます。
例えば、毎月「資金繰り」に対する不安があるとします。設備投資資金や売掛金、人件費、賞与資金、社会保険の会社負担分…。何に対して足りないのかを毎月のキャッシュフロー上で明らかにします。足りない資金の明細が分かれば、資金繰りの根本的な対策が立てられます。そうなると、心配事も軽減します。
採用人数が足りない場合は、具体的に何の作業がボトルネックになっているのか。工程管理をしっかりやる必要があります。工程管理で人の配置と原価管理とのミスマッチが起きている場合は、過大な人件費の発生の原因になります。このように不安を落とし込むことで「心配事」にし、さらに具体的にすれば、問題点が浮き彫りになり解決策が生まれてきます。
一方、世の中も動いています。IT、AI革命により、産業分野でも技術革命が起きている現在、自社の「立ち位置」が見えていないと、今後に対し、不安な心が芽生えます。これも、何の工程に技術革命が起き始めているのか掌握することです。そして、社員の技術力不足による問題だと分かれば、教育投資をします。設備の問題なら、設備投資が必要になってきます。
以上、「釈迦に説法」のようなことを話してきました。繰り返しますが、不安をより具体的なことに見える化することが大切です。「梅は咲いたか桜はまだかいな」と、風流も解する、メンタルに強い余裕がある経営者を目指してください。
湘南デザインCEO/相模原商工会議所工業部会副部会長/公認心理師