相模原商工会議所会報10月号に掲載されました

相模原商工会議所会報10月号の「健康特集」にて掲載されました。

 

「人の気持ちは力を生み出す」【中編】

~「記憶」とは~

一般社団法人 産業精神保健機構 代表理事
公認心理師 精神保健福祉士
松岡 康彦

 

今月は「記憶」について説明します。記憶には、 人の行動を広げる力があります。なぜなら記憶にとどめておく量が多ければ、 行動力の元になる知恵として使えるからです。記憶は「長期記憶」と「短期記憶」「感覚記憶」に分けられます。

感覚記憶は目の前を流れて いく記憶で流れ去るという感じです。

一方、 短期記憶は電話するまで覚えている番号のようなものです。ここで話したいの は「長期記憶」に残す方法です。

かつて心理学者のダルヴィングは、長期記憶について「意味記憶」と「エピソード記憶」に分けました。意味記憶は、 辞書的な意味を覚える記憶で、 学習が一番近いです。

それに対し、 エピソード記憶は自らが経験したことを、物語のように一連の流れとして記憶しておくことです。また、 自転車や自動車の運転は「手続き記憶」と言われてい ます。動作するのに意識を伴う必要がない記憶です。

さて、 この回の本題である長期記憶化についてですが、心理学者のヘルマン ・ エピン グハウスは2つ唱えています。

1つ目は「忘却曲線」です。 1時間、 1日の忘却量を明らかにし、再び学習したときに初めての学習より節約できれば「節約率」で表すことができます。

もう1つが「系列位置効果」です。ここでは、 最初に覚えることを「初頭効果」として います。初頭効果は何回も始めに覚えるので長期記憶として定瘤しやすいといえます。

何回覚えても中々覚えられず忘れてしまうことがありませんか?安心してくださ い。学習にはプラト一期(停滞期)が必ずあります。学習して成績が伸びた後、 伸び悩むときです。必ず抜けます。その時は「再上昇」ですから勢いがあります。

このように記憶の定篇にはノウハウがありますが、 体得していただければ行動する時に必ずお役に立てると信じて います。コロナ後の行動に向けて記憶力も上げましょう。