かながわ経済新聞9月号に掲載されました。
経営者と構想力
前回(8月)号では「経営者と発想力」について説明しましたが、今回はさらに発展させ「構想力」について考えていきたいと思います。
よい発想からアイデアが浮かんだとしても、現実まで持っていくには構想力が必要になります。言い換えれば、発想したことを落とし込む工程です。
構想力は、自らの人生で培ってきた経験値、それに知識を脳内でフル回転させてシャッフルさせることから始まります。その後、実現させるためには、自分にどんな「資源」があるのかを確認します。その一つが人脈です。
自分にとって知らない分野だったら、人脈を通じ、その道の大家に教えを請うことが一番です。このパイプが太くなれば、現実に近づきます。ただ、専門家にどんなに教えてもらっても、実現するのは自分一人では難しいといえます。よき理解者たちと一緒に進めることが早道です。しかしながら、一緒に進めようとして何人かに相談すると、最初から「それはできない」と決めつけ、その理由を羅列する人たちがいます。そういう人たちは、自分にとって、よき理解者にはなり得ません。そもそも、相手の立場では考えていない人たちで、困難な壁を乗り越えた経験がない人たちでもあります。
よき理解者は、経験値が高い人たちの中にいます。そういう人たちの言葉には、真摯に耳を傾けてください。親身になって話してくれる人もいます。
経験値とは、人生の積み重ねで、壁を乗り越えたときに体得するものです。構想力を発揮するために、欠かせない要素といえます。一方、知識も一朝一夕には宿りません。高校・大学だけでなく、社会人になってからも、知識を習得するための努力を継続してこそ身に付くのです。
組織にいるだけで満足し、日々決められた仕事だけをやる人生を過ごしていたら経験値も知識も得られません。皆さまもよき理解者とともに、コロナ後に焦点を当てた構想力を、ぜひとも発揮していただきたいと思っています。
(湘南デザインCEO /相模原商工会議所工業部会副部会長/公認心理師)