経営者に必要なのは「胆力」
今月は創業者と2 代目(3代目、4代目含む)について書きたいと思います。両者の一番の違いは創業間もない時は売掛金がないことです。創業者は毎月、毎月お客様を見つけて定期的に発注いただくことが、会社を回すための第一の仕事になります。仕入れもしかりです。お金を払ってもらえるか分からない会社に品物を売ってくれる会社はありません。社員もなかなか入社しくれません。銀行も創業間もない会社には貸してくれません。創業者に対し、頭が下がることは、何もないところから会社を回し始めたところです。
それに対し2代目は全部そろっていて引き継ぐわけですから、創業の大変さはありません。必要なのは会社を回す「人間力」です。では、人間力とは何でしょうか。「経営者をやれるという自負心」だと、私は思います。
これは創業者も同じですが、とりわけ2代目は、今まで会社を回してきた社員との人間関係作りが肝になります。まずは良好な人間関係作りをしながら、自分の「陣」もつくっていくことになります。
私の経験では、陣作りは最低10年かかります。社員やお客様だけでなく、仕入れ先、銀行も「この2代目は信用できる人物であるのか」をじっと見ています。信用できる人間とは、「胆力がある人間」であると思います。胆力とは「物事を恐れない気遅れしない気持ち、度胸」と辞書にあります。もっと具体的に言えば、「腰の据わった人」「包容力のある人」「人間的な魅力のある人」であると考えます。
このことは、一朝一夕では到達しない人間域です。心に刻み込みつつ日々過ごすことで自ずと身に付いていくはずです。創業者や2、3 代目に限らず、「胆力のある経営者」になることは、会社を盤石にして成長軌道に乗せる重要なファクターだと思います。ぜひとも「胆力のある経営者」を目指し経営を続けてください。
(湘南デザインCEO/相模原商工会議所工業部会副部会長)