相模原商工会議所会報11月号に掲載されました

ウィズコロナの時代ストレスとどう向き合うか 【後編】

一般社団法人・ 産業精神保健機構 代表理事/精神保健福祉士 松岡 康彦

 
皆さまこんにちは。早いもので霜月となり、師走を残すのみとなりました。睦月、如月、弥生と暦をめくるうちは「まだ10カ月はあるな」と思いますが、水無月になれば「あと半年か」と感じつつ、葉月の暑さもつかの間、神無月、霜月、師走で大晦日となります。

さて、日本は今のところ、新型コロナウイルスの感染拡大を何とか押さえ込んでいますが、欧州は第2 波に見舞われており、今のところ収束が見えていません。こうした中で、私たちはどう生きていくことが幸せなのでしょうか。

新型コロナウイルスへの対処ですが、基本は報道の通りだと思います。その一方で、メンタルの部分で大事なのは「人との関係をできるだけ普段と変わらない状態に保つ」ことであると私は考えます。特に継続したコミュニケーションが必要です。言い換えれば、親しい人たちと会えないもどかしさを、どう解決していくか考えることです。

そのためには、メールやLINEはもちろんですが、直接電話で「会話」し、同じ時間を“共有”するのが大切です。「人とつながっている」と感じるだけでも、勇気や活力が湧いてくるものです。人と動物の大きな違いは、言語があるかないかです。身体と遺伝子に組み込まれている「言語」を使わなければ、人間は必ずストレスが溜まります。まだまだ続くとされるコロナ禍では、不要なストレスを発生させないことが一番です。だからこそコミュニケーションは不可欠といえます。

とはいえ、非接触のパソコンやスマホだけでの会話は、仕事では仕方がないと思いますが、日常生活は別です。できる限り人間らしい振る舞い(つまりリアル)で生活することがコロナ禍に対処する最良の方法であると、私は確信しています。画面でのコミュニケーションだけでは、残念ながら「会いたい」と思うエネルギーの伝わり方に限界があります。

コロナ禍で忘年会や新年会、さらには帰省まで自粛され、新年のお詣りまでもなくなってしまったら、生きる上での潤いがなくなるのではと懸念しています。コロナ禍でも、人とのつながりをどう保ち、継続していくのか。私たちは試されている気がします。

先月、10人以上の宴会への出席が禁止されている会社で、最初の30分だけ出席した人がいました。会おうというパワーがこうした工夫につながっています。人間らしさを継続するために努力と工夫を重ね、幸せな日々が続くことを心より願っております。
 
なお、10月号で文中にあった「ホメスタシス」は、正しくは「ホメオスタシス」です。訂正します。またお会いしましょう。 (終わり)