松岡康彦の産業よもやま話
経営者と「傾聴」
経営者にとって商売の基本は他者と「会話する」ことです。他者と話すことで自身、自社のことを理解してもらうように努めます。このことは、何もお客様に対してばかりではありません。社員や仕入先に対しても同じです。会話をする態度や姿勢で相手との良い関係が構築できるかが決まります。
よく「会話は術」とも言われますが、それだけではない気がします。経営者は自分のことばかり話す傾向が強いと思います。しかし、私は会話に必要なことは「真摯に聞くこと」「耳を傾けること」だと思います。つまり「傾聴」です。そうすることで相手も真剣に話してくれます。
相手に対し、素っ気なく聞いていたらどうでしょうか。相手はすぐに分かります。そして会話を進めても全くかみ合わなくなってきます。
傾聴に必要なことは、相手と自分の二人だけの会話なら、半分ずつの時間配分が理想です。人数が増えればその割り算が持ち時間となります。お酒を飲んで6人以上になると最初は一つの話題でも、だんだん二つに分かれて全く違う会話をします。一人一人が話す時間が少なくなるからです。
相手の話に傾聴しながら間をとりつつ、相槌を入れ、会話が弾むようにすれば商売も人間関係もうまく進みます。コロナでマスク越しの会話が多く、大変違和感があるこの頃ですが、目と耳と口を研ぎ澄ませて会話を楽しんでください。
(湘南デザインCEO/相模原商工会議所工業部会副部会長)