かながわ経済新聞2月号に掲載されました

松岡康彦の産業よもやま話

経営者とヒューマンネットワーク

経営者にとって「情報」はとても重要です。情報を得る方法としては、人や本、ニュース、専門誌、講演会、展示会…などと多岐にわたります。その中で人からの情報提供を受けることは、具体的かつ客観的で時間もかからないベストな方法といえるでしょう。

では、どのようにすれば“角度の大きい人”からの情報を得ることができるのでしょうか? ここがキーポイントになります。よく「たくさんの引き出しを持ちなさい」と言われます。引き出しとは、そのことにたけている人、専門性に優れている人たちと交流を持つことであると、私は考えています。その経営者が仮に30の引き出しを持っている場合は、30人の専門家と交流があるということになります。

交流が薄い人に対し、専門的なことをいきなり聞いても、相手も面食らいますし、自分にとって的確な回答がもらえるかも分かりません。情報を快く得るのに大切なことは、日ごろから意思の疎通を図っておくことです。

例えば、今すぐ聞くようなことがなかったとしても、会って食事をしたり、お茶を飲んだりするのが一番効果的です。会うのが難しい場合は、電話で近況を知らせる。メールをしてみる。旅に出たときに絵葉書を出す。このようにして、日ごろから「引き出しを開けておく」ことが大切だと思います。

必要なときにだけ開けると、固くてなかなか開きません。いつも意思を疎通している人ですと、質問したときに親身になってくれたり、プラスアルファの回答をもらえたりする場合もあるのです。

人との交流を深めるには、息の長いお付き合いを続けることも重要です。信用・信頼関係は一朝一夕には築けません。それこそ積み重ねです。自分自身も人間愛を感じられる人になることです。そうすれば相手からの好感度が高くなります。以上のことを、心に置いていただき「引き出し」になっていただける人と、よい情報交換ができることを祈っています。

(相模原商工会議所・工業部会副部会長/湘南デザインCEO)