実践!健康経営〜うつを出さない職場づくり〜4月号

「傾聴」は自分のため

今回は「傾聴」についてお話しします。傾聴は読んで字のごとく人の話を聞くということです。カウンセリングでは最も大切な基礎技術となります。日常生活での会話でも大事なことなのですが、意外にできていないです。昔から「聞き上手」という言葉がありますが、相手に好感を持たれる秘訣(ひけつ)とも言われています。

逆の事例としては、夫婦の会話でも奥様の話を上の空で聞いていて、急に話を振られて「あたなたはどう思う」と言われ、返答に窮して冷や汗することが多々あると思います。

子供から相談を受けても頭ごなしに「そんなのはダメだ」あるいは、考えを聞かずに「こうしなさい」と言ったりしていませんか。会社では部下から相談を持ち込まれて、最初の5分はうなずいて聞いていますが、相手がちょっと呼吸を整えようと、一呼吸置いた途端、「それはね○○君、僕の経験から言うとこうでこうだよ。だから心配ないからどんどんやりたまえ」と一方的に20分も話を続けてしまいます。この上司の過去の話を聞くために相談したのではないのです。

このように、傾聴することは、相手のめだけではなく実は自分のためなのです。コミュニケーションは、話す人と聞く人で成り立ちます。受け手側の態度により、コミュニケーションが進んだり、ぎこちなくなるわけです。相手の話に耳を傾けて聞くことは、人間関係を良好に保つのに重要なことだと理解していただけたでしょうか。

(湘南デザインCEO/産業精神保健機構理事長・松岡康彦)