かながわ経済新聞1月号に「松岡康彦の産業よもやま話」が掲載されました。
経営者と熱意
新年を迎え「今年もさらにやるぞ!」という気持ちになっているかと思います。そこで、今回は「経営者と熱意」についてお話しします。
仕事を成し遂げるには経営自身の熱意が社員に伝わる必要があります。その熱意とはなんでしょうか? 私が思うには、仕事の意義と達成感を理解してもらい、納得させる力です。自分だけ熱くなっていても、社員が冷めている場合は他人事になります。そうすると、発揮する力は、賃金にも満たない可能性があります。
社員が持っている能力と、知恵、やる気を引き出して働いてもらえれば、経営者の熱意が伝わっていることになります。熱意を伝えるには社員と真摯に向き合うことが必須です。労働力を「賃金の対価」として働いている社員の気持ちを、賃金以上に働いていてもらい高い価値を生み出すことは、会社の成長には欠かせません。それを、どう理解してもらうかです。
そのためには、社員が今持っている仕事の能力を把握し、経営側と共有することです。共有した能力から、今年はどの程度高めていくのか、経営者と社員が話し合い、最終的に「合意」する必要があります。
合意するための、社員との話し合いは、経営者にとって熱意を伝えるチャンスでもあります。「あなたの能力のここを伸ばしていただきたい」「それをやっていただければ会社の成長につながる」といったことを説明し、納得してもらうことです。
具体的な数値に落とし込むことが大変な場合は、個々の仕事の事柄で話し合うのもよいでしょう。経営者は社員の結果の評価をするのではなく、これから発揮してもらいたいことを話す方が大切です。
一人一人の能力を引き出すには、改めて能力を把握する必要があるかもしれません。経営者の皆さまの熱意が伝わり、会社が今年も成長することを祈念しております。
(湘南デザインCEO /相模原商工会議所工業部会副部会長/公認心理師)