経営者と学問
今月は「経営には学問が必要であり、さらに経営者が学ぶことは自社の利益に直結する」ということをお話しします。
分からないことがあれば、大学の門を叩くのが一番の近道です。自分で調べるより、その道の専門家に聞くのが最速の方法だからです。私の体験からお話します。
私は大学経済学部卒業後、父が経営する当社に入りました。まず困ったのが図面が読めないことでした。そのため1年間、機械製図科で学びました。
そして工作機械1台を何とか設計できるようになり、図面が読めないという負い目はなくなりました。やがて時代が進み、コンピューターによるCAD/CAM の普及が始
まりました。当時は1980 年代。私は定規のドラフターで設計していたため、2 次元CADを初めて触り、そのよさをすぐさま実感、間髪入れずに導入を決めました。
CADの次はCAMです。CAMは3次元ですからデータがつながりません。どうすればよいか分からない。ならば専門家に聞くのが一番と考え、同分野で知られていた北海道大学・岸浪建史先生を訪ねました。先生はCAMの考え方を丁寧に教えてくれました。それ以来、今日まで交流が続いています。
また、今から8年前、当社で職場不適応者が4人も出てしまいました。社員が通院する精神科に聞いても、患者のプライバシーな
ので何も教えてもらえません。それなら、自分が知識を深めるしかないと、精神保健福祉士の勉強をし、資格を取得しました。さらに、専門家の話も聞きたいと、今度は北里大学の田中克俊先生を訪ねました。その甲斐あって、職場からうつ病などを出さないために経営者として何をすべきなのかを、論理的に把握することができるようになりました。
経営者にとって、遊びも重要です。しかし「学び続ける」ということは、それ以上に大切であることは、言うまでもありません。
(湘南デザインCEO/相模原商工会議所工業部会副部会長)